組合員活動報告

【2024年度理事研修報告vol.3】理事研修2日目(1)「島酒家」

2024年度の理事研修として“平和”をテーマに2025年1月12〜14日に沖縄を訪れました。
各報告を掲載して行きます。

沖縄のもずくやあおさ、調味料の生産者の「島酒家」を訪ねました。

石黒新海さんが代表を務める島酒家の夢は「5年後、日本一の国産オーガニックの製品のメーカーになること」!企業理念は「神謝(感謝)の心」「常に生産者と共に活き 常に未来を創造し 常に遊び心を忘れない」。

社屋は市の元学校給食センターを土地付きで借りてリノベーションして使用。その賃借料は子供達の給食などの費用に使って欲しいと指定しているそうです。外観はコンクリート製のそっけない建物ですが、中に入ると明るくモダンな内装で驚かされました。事務所の入り口には夢が生まれるところだからと「Dream」の表記があり、ガラスのパネルには大きく「感謝」の筆文字。筋の通った理念と社屋との融合が見られました。

石黒さんは2007年の創業以来、日本のオーガニックが拡がらない現状を変えようと努力してきました。農産物以外のオーガニック加工品の6割以上が外国産原料を使用しています。オーガニック認証の難しさ、出荷先、生産者の送料負担などの問題があり生鮮でのオーガニックは採算を取ることが難しい。そこで注目したのがまだ誰もやっていない海藻やスパイスでのオーガニックでした。

2021年に日本で初めて海藻の有機JAS認証制度が開始され、翌年の12月に「奥武島有機もずく」と「宮古島有機あおさ」で有機JAS認定を取得しました。

海藻に成長剤や化学肥料は使用せず酸処理もせず環境を害する船の船底塗料も使用しないなど厳しい基準をクリアし、満月の夜に海水を汲み上げて胞子を育てるなど(!)自然に基づいた農法を徹底して栽培された海藻です。

国産オーガニックスパイスなどの農産加工品にも意欲的に取り組み、従来の「有機島唐辛子・島こしょう・シークワーサー・生姜・ガーリック」にプラスして、日本初のオーガニック飴やモリンガ入りオーガニックふりかけに有機コリアンダーやターメリックなど新しい商品を次々に展開する予定です。

理解ある生産者と協力して環境に優しい方法を推進しているので、地域環境を守ることにも繋がっています。社会貢献にも熱心です。沖縄の子どもたちを支援するプロジェクト(伊平屋島子供支援プロジェクト・宮古島子供支援プロジェクト・奥武島子供支援プロジェクト・NPO法人子どもシェルターおきなわ)に参加し、学校給食へのもずくや海藻を使った味噌汁の寄付もしています。B型就労施設の方々にも軽作業や農作業支援をして貰い、安定した就労機会を提供しています。

工場見学ではシナモンの良い香りにうっとりし、島こしょう(ヒハツモドキ)を洗う作業の大変さに驚き、赤唐辛子青唐辛子の色味の鮮やかさに見惚れました。積み上げられた乾燥宮古島あおさの緑色の濃さはジオラマ芝生シートにそっくりでした。従業員の皆さんが笑顔で丁寧で、自社の製品を愛して仕事をしている様子が伝わってきました。

もずくの生産現場も見学しました。沖縄は日本一のもずくの産地。なんと全国に流通しているもずくの99%以上が沖縄で養殖されたもの。太陽光をいっぱい浴びて育つもずくには、浅くて透明度の高い沖縄の海が合っているそうです。もずくの収穫は春から夏にかけてで、最盛期は3月から6月。見学した1月半ばは、満月の夜に汲み上げた海水を入れた水槽に網をつけてもずくの胞子付けを行っている時期でした。ふよふよと網に付いている赤ちゃんもずくに感動!しかし生育状態が悪いので手作業で取り除いてまたやり直しになるそうです。その手間を思うと気が遠くなり、自然に任せる農法の難しさを知りました。

お昼をいただいた島酒家のもずく生産者の嶺井さんが運営するもずく専門料理店「くんなとぅ」は、オーガニック生もずくを使った沖縄そばやジューシー(豚出汁の炊き込みご飯)などを楽しむことができ、地元の人や観光客で賑わっています。「オーガニック生もずく食べ放題」はおよそ本州で聞いたことの無いサービスで、思わず何杯もお代わりしてしまいました。

オーガニック海藻の生産とその周辺の課題や社会的な影響、企業の哲学や地域貢献、環境への取り組みや沖縄の未来について思いを馳せる見学となりました。

日本一を目指し、陸のオーガニックだけでなく、海のオーガニックにも、そして調味料のオーガニックにも挑戦し続ける、沖縄の島酒家さんを今後も応援していきたいです。(枝元)